鈴木孝紀

鈴木孝紀
23歳(インタビュー時)
栃木県 峰町キリスト教会


鈴木さんとキリストの出会いについてお聞かせ頂けますか。

 中学3年の頃、僕はラップが好きで、その頃からクラブへ通うような生活をしていました。もちろん、未成年がやってはいけないようなこともやってましたね。当時、家が自己破産してしまい、借金のせいで家が国に取られてしまったんです。「理不尽だ!チョット待ってくれるぐらいイイじゃないか!」と思いました。「このせいで、自分は他人と違うんだ。」と思わないと、心の安定が保てなかったんです。その反発もあって、中学から高校の生活は荒れに荒れていました。
 それでも、塾にも通い、ある程度の勉強はしていたので、大学へは入学できたんです。塾の先生と同じ大学に入ったことがきっかけで、その先生が「ウチのサークルに入りなよ!おもしろいよ!」と誘ってくれたのでそのサークルに入ったんです。で、そのサークルでは「バイブルディスカッション」というのをやっていたんですけど、僕自身は宗教的なことは大嫌いだったので、初めは反発していたものの、「聖書は何か違うな…」と感じてきて興味を持ち始めたんです。するとだんだんと聖書が好意的に見れるようになってきて「聖書は自分にとって必要なんだ。」と解ってきたんです。
 それまで、理不尽だ、自分は他の人とは違う、と思っていたことも、「自分にとって、この大きく辛い出来事は、いったい神様にとってはどんな意味があるんだろう。」と思い始め、それが「自分にとっては悪いできごとだったけれども、神様にとっては悪い計画ではなかったんだ。」とマイナスのことをプラスに受け止めることが出来るようになりました。こんなふうに思いが変えられたのは、神様にしかできないことですよね。
 そして、大学一年の時に、そのサークルで信仰告白しました。
鈴木孝紀-2 信仰告白したものの、教会へは行かなくってもいいか、と思っていたんですけど、サークルの先輩が峰町キリスト教会の礼拝に出ていて「行ってみないか」と連れられていったのが、教会に繋がったきっかけでした。それが二年の4月のことです。ちなみにサークルに誘ってくれた塾の先生はノンクリスチャンです。なんか面白いでしょ。
 僕が峰町キリスト教会に行き始めた頃に安食ジョイ師がKBIを卒業して帰ってきたんですけど、この先生は関西に居るときにラップをやっていたと聞いて、興奮しましたね。ここへきてラップですよ。僕は何とかラップを教えてもらいたいがゆえに、先生に近づいていきました。ラップ優先の下心アリアリです。
 そんなカタチでも安食ジョイ先生との関係が深まり、先生から色んな事を学ぶようになり、大学生・高校生向けの集会をサポートするようになりました。先生達がイキイキしながら福音を伝えている姿を見て「いいなぁ」と思っていました。中高生の集会では、自分より年下の中高生が救われていく姿を見て凄く感動しました。彼らが目をキラキラと輝かせて「神様って本当に素晴らしいんです!」と言ってるのを聞いて「いいな、凄くいいな。神様の福音を述べ伝えて、その場で人々が変わっていく姿を見続けたい!」と思ったのが献身へのきっかけとなりました。「牧師になりたい!」「福音を伝える仕事がしたい!」と思いました。
 安食ジョイ師に話すと「じゃあ、KBIへ行けば?」と勧められました。

それですぐにKBI関西聖書学院を選んだのですか?

鈴木孝紀-3 簡単には決められなかったですね。一番辛かったのが「金銭面」です。自分で稼いで行くしか選択肢がなかったので、他にも色々と神学校を探してみました。神学校の一階がカフェになっていてそこで伝道できるような学校もあり実戦的なところにひかれたり、学問過ぎて自分には無理だと思ったり、神学校にもいろいろと個性がありました。でも「金銭面」で一番安かったのは結局KBIだったんですね。それでノンクリスチャンの親に相談ところ、意外や意外、費用を負担してくれたんです。「自分が本当にやりたくて、人のためになるなら頑張ってこいよ!」って激励されてね。
 KBIは教会のリーダーからも勧められていたんですけど、だいぶん脅されましたね。「あそこは怖いぞ〜」「ボコボコにされるぞ〜」「自我が砕かれて、自分の罪深さと向き合う、辛い経験をするぞ〜」って。「でもそこがいいんだ! それ無しには結局外へ出たときに良い働きができない。」だからKBIに行って磨かれてこい。そんな風に勧められました。

脅されつつKBIに入学してみてどうですか?

 脅されていたほど怖くはなかったです。自己を見つめ直して、十字架の前に出ると、自分の汚さを示されます。その頻度が高くなり、また深く考えさせられる時間が増えました。
 僕は救われたときの日記に「自分の罪深さに吐き気がする。」と書いてたんですね。その時は自分の罪を知るたびに落ち込んでいました。「神様を信じているのに何だろうコレ…」って感じで回復するのにも時間がかかっていました。でもKBIに来て「そんな僕のことを神様は愛してくれているし、そのままで受け入れてくれている。自分が変われるように導いてくれている。だから僕は安心して十字架に戻ればいい。」と捉えることが出来るように変えられました。十字架の重み、恵みは、知れば知るほど感謝が溢れてきます。

学び、カリキュラムについてはどうですか?

 僕が一番好きな授業は宣教学(大田先生)で、とても興味深いんです。大田先生がインドネシア宣教へ行かれてた時の話しを聞くと、こう言う世界があるんだ、と知れば知るほど外の世界の広さ、働きの多さを知ることが出来ます。そして燃やされます。神様はスゴイと思わされます。それが楽しくて楽しくて。

卒業後のビジョンを聞かせていただけますか。

 名古屋に「小さな命を守る会」(辻岡健象先生)という特別養子縁組の働きがあります。自分もそんな働きを進めたいって思っています。今、社会に目をやると小さな命が軽く扱われているように感じてしまいます。でもそうではない。イエス・キリストはその一人のためにも十字架にかかった。自分勝手な価値判断をするべきではなく、聖書の価値観に照らし合わせて判断するべきだと思うんですね。また、止むを得ず中絶してしまった人たちのケアもしていきたいんです。

最後にKBIの好きなところを教えてください。

 ここは、年齢も考え方も、感じ方も違う、さまざまなバックグラウンドをもった、多種多様なヒトの集まり。お互いを刺激し合える、良い相互関係ができていきます。それがKBIの目的であると感じるし、僕はそこが好きです。他の神学校のことは推測でしかわからないですが、自分の神学生のイメージはKBIで打ち砕かれました。神学生は机に向かってただ勉強して単位を取って卒論を出して卒業するというイメージだったのが、KBIでは椅子に座る時間は非常に短い。神学生が草刈り、掃除、建物の修繕をするのか? 自分の中に偏見がみごとに打ち砕かれましたよ。

本日はありがとうございました。
インタビュー:2014年9月
インタビュー制作:トゥルース